中国人留学生の覚悟
ここ数日、中国の新聞では中国人の海外留学熱に関する記事が多く見られた。
また、ソフトブレーンを創業された宋文洲氏は、来年中国の世界への年間の留学生が日本の毎年の卒業者の数を上回ることをツイートされている。
日本人が知らない数字↓
— 宋 文洲 (@sohbunshu) 2017年10月21日
A=54万人/年
中国の世界への留学生
B=56万人/年
日本の大学卒業者年
来年はA>Bになる pic.twitter.com/Q17sirjk7Y
アメリカに留学している外国人の3人に1人は中国人
2016年度にアメリカに留学した前年度から8.1%増の32万8,547人(前年度は30万4,040人)で7年連続でトップだという。
ちなみに日本人が1万9,060人ということなので、約16倍である。
2017中国国际教育展 中国赴美留学生数连续7年居榜首_社会
超ハイレベル人材が数多く中国に戻り、職探しも激化
一方でこちらの新聞では、以前は一部の上流家庭の子供しかアメリカ留学を志さなかったのに対し、現在は中流家庭の子供もアメリカ留学を目指すようになり、そのため、留学生の帰国後の職探しが、単にアメリカ留学したというだけではスンナリといかなくなっていることを指摘。
国内での留学経験者の就活がコンペティティブになっている点を挙げ、多額の費用をかけて留学させるだけのリターンがあるのか、疑問視している。
あまりに高い投資のために、中国では
「海外留学すれば、6年間で200万元(=約3,400万円) かかるが、中国に帰ってきても月給2,000元(=約3万4千円)の仕事しかない。」
という言葉が広まっているという。
台媒:大陆留学从精英化走向大众化 求职竞争日趋激烈_新闻_腾讯网
中国人留学生の覚悟
これが本当かどうかはわからないが、この言葉で逆に筆者が思ったのは、
そういった中国の中流家庭(中国の平均年収は7万元(=約120万円)以下※)から、アメリカに留学に行く子供のプレッシャーと覚悟は、日本人のそれとは比べ物にならないないんだろうなということを改めて実感した。
家族の期待を背負って、死ぬ気で勉強している中国人同級生をみて納得した気がした。
※China Average Yearly Wages | 1952-2017 | Data | Chart | Calendar | Forecast
また、この記事の中では最後に、中国の北京、上海をはじめとした一級都市での競争はとても激しいが、杭州、武汉といったそれらを追随する新一級都市では競争が激しくなく、高度人材も容易に職を得ることが出来ることに触れている。
そうである、次から次へと超巨大な都市が誕生している都市では、別に上海、北京と場所にこだわらなければ需要は次々に出てくるはずである。
また以前紹介したように、McKinseyのリサーチによれば、少なくとも2020年までに中国では、よりホワイトカラーの需要が供給に対して大きくなり、ブルーカラーは逆に供給が需要に対して大きくなることを指摘している。
(Source Talent tensions ahead: A CEO briefing | McKinsey & Company)
もちろん、ただ単に留学したといっただけでは良い職を得ることは難しいだろうが、プラスアルファで何かを身につければ、これから中国国内の2、3級都市の発展と、一帯一路構想から生み出される需要で、チャンスは十分にあるんじゃないかと個人的には思う。
何より、超ハイレベルな人材が、更に高みを目指して競い合う中国という国のポテンシャルは本当に計り知れない。