さらばマセラッティ(中国の電動バイク産業)
ユニクロ中国がMobikeとパートナー契約を結んだというニュースが流れていた。
こういうところは本当にユニクロは意思決定が早いし、何より目のつけどころがすごい。
Mobikeがこれだけ普及してきたら、必ずMobikeに広告を載せようとする企業が現れてくるはずで、健康的でスポーティなイメージを植え付けたい企業にはもってこいである。
今後更なるMobikeとユニクロのコラボレーションに期待したい。
中国の電動バイク産業
前回触れたように小生は電動バイク(前回のブログで電動自転車と紹介していたが、その破壊力とスピードからバイクと呼ぶにふさわしいと思い、今回の記事から改名した)を手放す決意をした。
大変便利で満足度は高いのだが、自分のように無茶な運転をしがちな者がこれに乗り続けたらいつか大事故に巻き込まれると思ったからである。
先日中国本土に初めてきたという日本人と話していて、中国での電動自転車の普及と、クオリティの高さに驚いた。と言っていた。
半分当たっていて、半分間違っていると思うので電動自転車業界について解説したい(以下主に「2020年の中国」野村総合研究所を参考にしている)。
中国の電動バイク産業
まず大体中国には、どれくらいの電動バイクがあると想像されるだろうか???
中国政府の発表によると、今現在大体2億5千万台の電動バイクが中国国内にあると言われている。
日本の人口の倍以上。そりゃよく見かけるわけである。
反対に、中国国内でガソリンで走るオートバイの数は年々減少している。
実際、上海で日本で見る一般的なオートバイをみることはめったにない。
世界のほとんどの電動バイクは、中国で生産され、中国で消費されている。
なぜここまで、中国で電動バイクは普及したのだろうか。
理由は安価な価格設定である。
新品の電動バイクを買う場合大体、価格帯は1,000-3,000元である(日本円で、16,000-8,000円)。
実際新品で買う人は少なくて、小生もタオバオ経由で900元弱で購入した。
この価格設定だったら、農村部の人々も購入することが出来る。
なぜこのような安価な電動バイクを各社提供できるのだろうか。
それは電動バイク製造メーカーが、既存の産業が構築してきた産業基盤を上手く活用してきたことが大きな要因である。
電動バイクのメーカーは専業メーカの他に、オートバイや自転車業界からの参入も多い。プレスチック部品は家電やオートバイ向けに金型を製造してきた浙江省の金型供給に8割型支えられているという。
最高の製品を目指すのでなく、敢えてSOSOなプロダクトを選択
中国に来た日本人がいっていたように、多くの人は中国の電動バイクは発展していると思われるかもしれないが、ほとんどは、中国メーカーが最新技術を敢えて採用せずに作り出した電動バイクである。
例えば、リチウムイオン電池を使えば、電池の性能はあがるが、リチウムイオン電池搭載の電動バイクは基本的には輸出向けで、国内向けは敢えてグレードを落として価格を抑えるために鉛酸電池が使われている。
厳しい競争環境
しかしながら、それは各社が製品の性能改善の努力を怠ってきたというわけではない。
市場が拡大していく中で、様々なメーカーが参入し、ピーク時には、完成車のメーカーは1,000社以上に上がった。
このような環境下で各社切磋琢磨して商品開発を進めてきたのである。
実際、鉛酸電池の寿命は1997年から2005年までに35%伸び、モーターの効率は1995年から2000年の間の間に6割上昇したいという。
このようにメーカー間の生存競争が、製品の品質を高め、それをユーザーが満足して、更に市場が拡大するという循環を生んでいるのである。
これからも増え続けるだろうが、特に免許がいらずに乗れてしまうので、
マナーのなっていない電動バイクドライバーも一定数いるのが事実である。
中国に来た際は、歩道を歩く際も十分な注意が必要である。